東京の郊外に住む木村さんは、お酒を飲んでの失敗の多い人です｡　　傘や靴を取り替えてくることなどは序の口で、それも必ず古いの

SOSは、国際的に使用されている遭難信号だ。SOSの起源について、これは「われらの船を救え（Save Our Ship）」という文章の三つの頭

世の中、顔と名前が一致しないことがあります。　　電車の中で背広姿の紳士に挨拶されて、顔はよく見るけど、その人がどこの誰だ

世の中が何となくざわつき始めた。今にも戦争(いくさ)が起りそうに見える。焼け出された裸馬(はだかうま)が、夜昼となく、屋敷の

床屋の敷居を跨(また)いだら、白い着物を着てかたまっていた三四人が、一度にいらっしゃいと云った。真中に立って見廻すと、四角

何でも大きな船に乗っている。この船が毎日毎夜すこしの絶間(たえま)なく黒い煙(けぶり)を吐いて浪(なみ)を切って進んで行く。凄

　けれど、あの街角には、夜明けの冷え込むころ、かわいそうな少女が座っていました。薔薇のように頬を赤くし、口もとには微笑み

マッチをもう一本、壁でこすりました。すると再び明るくなり、その光輝の中におばあさんが立っていました。とても明るく光を放ち

少女はもう一本マッチをともしました。すると、少女は最高に大きなクリスマスツリーの下に座っていました。そのツリーは、金持ち

少女の小さな両手は冷たさのためにもうかじかんでおりました。ああ！たばの中からマッチを取り出して、壁にこすり付けて、指をあ

寒さと空腹で震えながら、少女は歩き回りました　――　まさに悲惨を絵に描いたようです。かわいそうな子！ひらひらと舞い降りる

ひどく寒い日でした。雪も降っており、すっかり暗くなり、もう夜 ―― 今年さいごの夜でした。この寒さと暗闇の中、一人のあわれ

運慶(うんけい)が護国寺(ごこくじ)の山門で仁王(におう)を刻んでいると云う評判だから、散歩ながら行って見ると、自分より先にも

こんな夢を見た。何でもよほど古い事で、神代(かみよ)に近い昔と思われるが、自分が軍(いくさ)をして運悪く敗北(まけ)たために、

広い土間の真中に涼み台のようなものを据(す)えて、その周囲(まわり)に小さい床几(しょうぎ)が並べてある。台は黒光りに光ってい

こんな夢を見た。六つになる子供を負(おぶ)ってる。たしかに自分の子である。ただ不思議な事にはいつの間にか眼が潰(つぶ)れて、

こんな夢を見た。和尚(おしょう)の室を退(さ)がって、廊下(ろうか)伝(づた)いに自分の部屋へ帰ると行灯(あんどう)がぼんやり点(

こんな夢を見た。腕組をして枕元に坐(すわ)っていると、仰向(あおむき)に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。女は長い髪を

むかしむかし、ある山おくのほらあなに、ぐひんさんがすんでいました。　　ぐひんさんとは、テングのことです。　　このぐひんさ

むかしむかし、ある山おくに、おじいさんと孫の太郎がすんでいました。　　二人の家のすぐそばのささ山には、人をだましてはよろ