米世論調査機関ギャラップ社が実施した「2010年世界幸福度調査」の結果によると、自分の生活が「素晴らしい」と感じている中国人はわずか12%、71%が「苦しい」、17%が「非常に苦しい」と思っていることが判明した。経済が急成長し、生活レベルが高まる一方の中国。それなのに、大半の中国人が「自分は幸せではない」と感じているのはなぜだろうか?
幸福は人類の共通の夢であり、国民が幸福な生活を送ることが、中国各級政府の目標だ。人によって幸福感は異なり、同じ人でも一生の各時期で幸福感は異なる。「2009年世界幸福度調査」の結果によると、回答者の半数以上は、金を儲けてこそ、幸せになれるため、所得アップが多くの人の目標となり、政府も経済の急成長と国民の生活条件の改善を最重要課題としている、との見方を示している。しかし、広州でこのほど発表された「2011年広東幸福消費報告」では、所得の高さと幸福指数は決して比例しないどころか、中程度の所得レベルの人の幸福指数が最も高いことが示された。ここから、所得水準が幸福指数に大きな影響を及ぼすことは確かだが、決定的要因ではないことが分かる。ひとりの人間が幸せか不幸かの裏には、多くの要因が複合的に絡み合っている。英国の著名哲学家・ラッセルの著書「幸福への道」では、「不幸の原因には、社会環境もあり、心理的素質もある」と指摘されている。
幸福の原因となる外的環境は多い。広東省が「幸福広東」で幸福の要因としているものは、社会の公平・正義、生態環境、都市・農村、社会治安、人民の権益、要求の表現、文化的ニーズなど多方面に及んでいる。経済の急成長によって生み出された外的環境は、人々の幸福追求に多くの有利な条件をもたらしたが、同時にマイナス影響ももたらした。現代的な社会環境による社会の不平等、道徳的な堕落、物価の高騰、生活上のストレス増大などの現状のもと、人々の焦りや不安はどんどん募り、住宅価格が高すぎることだけで、多くの人々が自分は不幸だと感じている。寂しさ、鬱憤、恨み、非常識などの現代の都市生活にありがちな問題は、人々の孤独感や抑うつ感をさらに強めた。さらに、人間関係が疎遠になっていることや、人との信頼関係が薄れていることで、中国人はますます幸福感や快楽を感じられなくなっている。