第二次世界大戦の敗戦は日本の社会に深刻な衝撃を与え、未曾有の精神的・物質的荒廃をもたらした。特に学業半ばに、一切をなげうって戦場に赴いた学生や生徒が受けた打撃はたとえようがなかった。彼らは挫折感と絶望にうちひしがれ、勉学意欲を喪失し、虚脱状態で街々を彷徨した。彼らを学校に戻し、新たな目標を見出させること、さらには、これから育ってくる若者たちに学校教育を通じて新たな未来を切り拓く知恵と勇気を与えること、これが急務であった。
このような状況下で、当時長崎馬町教会の牧師であった青山武雄は、原爆により廃墟となった長崎の地で、新しい時代の日本を担う人材育成を決意した。 |